今のうちに対策を!ブロックチェーンドメインにおける 商標 権保護

商標 を所有する企業は、ブロックチェーン・ネーミング・システムで 商標 に関するドメインを取得する必要があります。ブロックチェーンドメイン名による侵害リスクは現実的であり、現時点では法的な救済措置は限られています。したがって、ブロックチェーンエコシステム内で企業の知的財産権を予防的に保護することが不可欠になります。

ブロックチェーンドメインとは?

ブロックチェーンは、ネットワーク内のすべてのノード(またはコンピュータ)が取引の全記録にアクセスできるという点で分散型技術です。また、独立するノードそれぞれにレコードがあるため、すべての取引は追跡可能であり、偽造不可能です。このエコシステムにおいて、ブロックチェーン・ネーミング・システム(.comや.caなどの従来のドメインと同様)は、とりわけ、企業が支払いを受けるまたは送るウォレットを、通常そのウォレットに割り当てられる英数字列よりも簡単なアドレスでより容易に特定することを可能にするものです。

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ブロックチェーン・ネーミング・システムに名前を登録することは、マーケティングや消費者エンゲージメントに大きなメリットをもたらします。

また、これらの名前は従来のドメイン名と似ていますが、NFTを介してブロックチェーンにリンクされています。つまり、名前そのものがNFTなのです。現在までにブロックチェーン上のネーミングシステムを提供しているのは、Unstoppable Domains(.CRYPTO、.NFT、.BITCOINなど)とEthereum Name Services(.ETH)の2社が中心となっています。

商標 関連想定される2つの大きなリスク

自動発行における「サイバースクワッティング」のリスク

ブロックチェーンのネーミングシステムは、スマートコントラクトを通じて名前を割り当てます。これは事前に定義された特定の条件を満たした場合に名前の登録を許可する自動化された契約で構成されています。したがって、登録時には、申請者が要求された名前を使用する正当な権利を検証するための監視や手順がありません

この方法は、残念ながら「サイバースクワッティング」行為を助長し、第三者が商標所有者よりも先にブロックチェーンのネーミングシステム内で商標名の登録を取得することが可能になっています。もし第三者が他社の商標に係るアドレス(例えば、Amazon.eth)を取得していた場合、商標権者が自分の商標を含む同じアドレス(例えば、Amazon.eth)を登録しようと思っても同じものをすでに第三者が取得しているので、登録できません。

それだけではなく、登録者はブロックチェーン上で取得したアドレスを使って自由に取引や契約を行うことができ、消費者から支払いを受けることができるようになります。そのため他社の商標に係るアドレスは消費者の混乱だけでなく、明らかな詐欺のリスクも大きくなります。

さらに、アドレスが非中央集権的な環境に存在するため、いかなる政府や取締機関であってもネーミング・システムの提供者に直接介入することが難しくなります。Internet Corporation for Assigned Names and Numbers (ICANN) のポリシーや従来のドメインネームシステム (DNS) サーバー内の監視は、現在のところブロックチェーン・ネーミング・システムには適用されません。

しかし、侵害の責任をブロックチェーンのネーミングシステム会社に負わせることはできるかもしれません。現在のところ、最も普及しているブロックチェーンのネーミングシステムは、直接発行している会社によって管理されています。そのため、裁判所はネーミングシステムの管理者が侵害の事実を知らされたにも関わらず対応しなかった場合、侵害の責任を管理者に負わせることも可能だと思われます。

同様に、カナダの判例法では、商標を含むドメイン名の使用は、商標法の意味において商標権侵害を構成する可能性があると繰り返し認識されています。このように、カナダでは、商標権者が全く救済を受けられないわけではありません。

著作権侵害があっても匿名性の問題から救済が難しい

ブロックチェーン上の取引は、仮名 (pseudonym) を用いて行われます。したがって、仮名と保有者を結びつけることは事実上不可能であるため、取引の大半は事実上匿名となります。さらに、ブロックチェーン上のドメイン名はNFTであり、その性質上、間接的な所有権しか付与されないことを覚えておくことが重要です。ドメイン名の保有者は、その作成者ではなく、単にその利用者であるため、ドメイン名の所有者ではありません。法的手続きを行い、損害賠償請求や差止命令を実行するためにブロックチェーン上でそのような保有者を特定することは困難でコストがかかるため、保有者に対するいかなる救済ができない状況に陥るリスクもあります。

別の手段として、商標権者は、ネーミングシステムのプロバイダーに対して、侵害する名前とブロックチェーンとの間のリンクを無効にすること、あるいはネーミングのルートにあるNFTを無効にする(Burnする)ことを命じるよう裁判所に求めることができるかもしれません。しかし、現時点では、カナダにおいて、商標権等の侵害事件でそのような命令を行った判決はありません。

商標 権者ができるベストな選択はネーミングの取得?

現在利用可能な選択肢は限られており、ドメイン管理には大きな自由度があるため、商標を保護するための最も効果的な解決策は、商標名およびそのすべてのバリエーションを関連するネーミングシステムプロバイダーから取得することです。また、ブロックチェーン技術や活動の広がりを考慮しつつ、中・短期的に企業が参入するであろうすべてのブロックチェーンで登録を検討する必要があるでしょう。ビジネスの成長を予測し、サイバースクワッティングの可能性から保護するためには、広範囲なブロックチェーンドメインにおけるネーミング(アドレス)の取得戦略が望まれます。 

参考文献:Trademark Protection Within Blockchain Domains

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