クリエーター のスキャンダルでNFT価格が暴落

NFT の クリエーター は匿名を使っている場合も多く、その人の過去や現在の思想や所属団体、行動が公になったときに、NFTの価格が暴落することがあります。今回は、日本のサブカルチャーに影響を受けたMilady MakerのクリエーターCharlotte Fang氏のカルト集団との関わりが指摘され、Milady MakerのNFTコレクションのフロアープライスが1週間で74%も下がるということが起こりました。

マーケット全体とは明らかに異なる動きを見せるMilady Maker

NFTプロジェクトの価格変動要素には数多くの要因があります。仮想通貨相場の乱高下もそうだし、NFT全体に対する期待感やリスク感も価格に影響します。仮想通貨自体は大きな値崩れがあり、現在はNFT市場も厳しい時期です。

しかし、近々の1週間を見ると、コレクタブルでNo.1のBored Apeのフロアープライスの値動きは10%以内にとどまっているものの、Milady Makerの相場は74%も下がっているので、この値動きはMilady MakerのNFTプロジェクト特有の動きになります。

4月の最高値から大きく下げる

Miladyは、4月に6,000ドルを超える史上最高値を記録したのに比べ、現在のフロアープライスは0.25イーサ(ETH)、約480ドルで販売されています。また、取引量も減少傾向になっていることが、上の図からわかります。

先週クリエーターのスキャンダルが暴露される

1週間前からの下落に大きな影響を与えた可能性があるのが、匿名の0xngmiによるスキャンダル事件です。0xngmiによると、Miladyの生みの親であるCharlotte Fangが「Miya」(黒人、同性愛者、ユダヤ人に対する憎悪を広めるオンライン上のカルト集団)であると主張しました。

0xngmiは、その調査結果をGitHubにまとめています。

これに対し、クリエーターのFangは週末にツイートで潔白を表明。「私はMiyaでした。そして、その有害な負の遺産がMiladyのコミュニティを傷つけ、雰囲気を悪くしているのです。過去のアカウントを隠そうとしたことについて謝罪します」と書いて、事実背景を説明しました。

しかし、中には、今のMiladyの美学やデザインは、クリエータのFangの過去の経歴の影響が強いという見方を示している人もあり、今回のスキャンダルはここ一週間に見られるMilady Makerの暴落に関与していたのだと思われます。

メタバース弁護士の見解

NFTプロジェクトを成功させるにはコミュニティのサポートが不可欠です。しかし、NFTクリエーターに何らかの「隠したい過去」や今の価値観にそぐわない発言や行動が公にさらされた場合、それがスキャンダルになる可能性があります。

今回のように、カルト集団との関わりが指摘されると、そのような人が作ったNFTプロジェクトには関わりたくないと思う人たちが増え、それによりNFTの売りが先行するような自体になりかねません。

このようなスキャンダルは一度出てしまうと収集が付かなくなり、クリエーターによる釈明や弁解がうまくできないと、さらに売りが先行するような事態にもなりかねません。

NFTの場合、クリエーターが匿名であっても成功するプロジェクトはあります。しかし、素性を隠していると、このようなスキャンダル事件のリスクもあることを理解しておくべきだと思います。

また、顔出しして本名でやったとしても、過去の行動や思想を探られてスキャンダルになることもありえるので、NFTプロジェクトの顔として公に出る場合は、それなりの覚悟をもって挑んだ方がいいのかもしれません。

参考記事:Miladys NFT Prices Tumble After Creator Doxxes Self as Person Behind Controversial ‘Miya’

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