MetaBirkin訴訟の考察: メタバーキンは「芸術的表現」ではなかったのか?

先週、フランスの高級ファッション企業であるエルメスは、米国で行われた画期的な裁判で、「MetaBirkin」NFTがエルメスのアイコンバッグであるバーキンに関する商標を侵害していると判断され、勝訴しました。これは、NFTに関連する最初の重要な知的財産権に関する判決であり、ブランド所有者にとっては朗報です。

陪審員は、Rothschild氏の「MetaBirkin」(エルメスのバーキンバッグを加工した画像からなるNFTの造語)がエルメスの「Birkin」の商標を侵害していると判断しました。これにより、エルメスには13万3千ドルの損害賠償が認められました。

芸術表現という証明はむずかしかった

陪審員は言論の自由と芸術の境界に関する複雑な問題に取り組まなければなりませんでしたが、本質的な問題はとても単純です。Rothschild氏は自分のNFTへの関心を高めるためにバーキンのマークとその名声と評判を不当に利用したか?陪審員団は、バーキンのマークを不当に使用し、NFTへの関心を高めているとして、これを認めました。

Rothschild氏は、メタバーキンは「芸術的表現」であると主張し、ウォーホルのキャンベルスープ缶との類似点を引き出そうとしましたが、陪審員を説得できなかったようです。裁判の初日、裁判所は、この主張を支持する証拠を提出する予定だったRothschild氏の重要な専門家証人、アンディ・ウォーホルを専門とする美術評論家を解任しており、今回のような結論になったのも当然だったのかもしれません。

今回の侵害認定とTwitterでの被告の反応は、Metabirkinsが芸術的表現とは見なされないことを示唆しており、おそらくウォーホルのキャンベルスープの缶の絵とは対照的であると思われます。この結論がNFT全般に影響を与えるのか?、与える場合、アートと侵害品の区別がどのでなされるのか、この訴訟結果の影響は今後のNFT業界に物議を呼びそうです。

参考記事:Hermès’ Birkin not drowned by Campbell’s soup: the MetaBirkin decision

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