NFT市場ではプロフィール写真(PFP)が主流ですが、次のNFTブームでは 音楽NFT が注目されると一部の専門家が力説しています。その中で、NFTによる「音楽の保有」という観点ではなく、音楽NFTを通してクリエイターとファンの関係性がより高まるような仕組みが求められているようです。
音楽NFTはクリエイターとコミュニティにとって有益な仕組み
Monstercat CEOのMike Darlington氏は、音楽NFTを検討しているクリエイターに対して、まず 「なぜ交流したいのか、なぜ関わりたいのか」を見つけ理解することが重要であると提案しました。
Darlington氏は、クリエイターの一部はすでに「アーティストにとって音楽業界は崩壊している」と発言しており、音楽NFTはアーティストやミュージシャンにとって、より継続可能な仕組みを提供できる可能性を持っているといいます。
この新しい環境がアーティストにとってどれだけ継続可能なものになるかは不明ですが、今言えることはほとんどのクリエイターが 「現在のモデルに満足していない」ことです。この現状を音楽NFTが変えるかは、今後「音楽NFTがどのような形式と形で登場するか」にかかっていると、Darlington氏は説明しています。
音楽NFTは、それ自体別のジャンルなのか?
Metalinkの創設者であるJake Udell氏は、無料と有料のプラットフォームではエンゲージメントのレベルが異なり、ユーザーは利害関係のあるプラットフォームにより多く関わることを選択する傾向にあると述べています。つまり、製品やサービスに投資していると感じるクリエイターやユーザーは、製品やサービスをもっと活用し、何かを作ろうとする傾向があるとUdell氏は言います。
興味深いことに、このようにユーザーが投資し、逆に新しい取り組みをおこなう力を与えられるという仕組みは、音楽を「受動的」な娯楽として聴くのではなく、リスナーとアーティストのよりダイナミックな関係を切り開くものなのです。ユーザーが所有権にこだわるかどうか、本当に所有権を持つかどうかは、文化やコミュニティが創り出すものとの関係ではあまり重要ではなく、デジタル製品への価値観が高まっていることが重要とUdell氏は主張します。
Udell氏によると、NFTスペースが昨年受けた注目の大きさだけで、カルト的な現象を引き起こしたと言います。Web3という共通項でグループができた事実を考察すると、Udell氏は「Web3は必ずしもジャンルではない」と考えているそうですが、アーティストにとってWeb3はファンを増やすための手段の1つになるえるとのことでした。
どう音楽をNFT化するかが課題か?
音楽のNFT化に関しては初期のころから議論がありましたが、未だにどう音楽をNFT化するべきかまとまったコンセンサスはありません。
特に、NFT市場で主流であるプロフィール写真(PFP)は、ツイッターやディスコードなどのSNSサービスで自分のプロファイル画像にすることができます。しかし、音楽だと同じ形で「見せる」ことができないので、プロフィール写真(PFP)と同じようなアプローチを音楽NFTに採用するのは難しいと思われます。
音楽NFTを持つことで売上の一部を得られるようなモデルはすでに存在しますが、今回の「デジタル製品への価値観が高まっていることが重要」という視点で考えてみると、今後出てくる音楽NFTがそのような利益の分配の仕組みである必要はないと考えています。
それよりもよりアーティストとファンの関係性をよりダイナックなものにするような仕組みを導入する方が、自然な流れだと思います。そういう観点で考えると、音楽NFTをすでにある既存のSNSの延長線上に考えた方がいいのかもしれません。
まだ音楽NFTビジネスモデルの「正解」はありませんが、音楽業界を変える可能性は十分あると思うので、今後のアーティストの新しい取り組みを積極的に取り上げていきたいと思います。
参照文献:Experts explain how music NFTs will enhance the connection between creators and fans