リアーナがスーパーボールのハーフタイムショーのオープニングを飾った「Bitch Better Have My Money」の原盤から将来得られるストリーミング使用料の一定割合を、各NFTの保有者に付与するNFTコレクションのリリースが発表されましたが、このNFTには大きな問題がいくつかあります。今回は、特に知財活用に焦点を当てて見ていきましょう。
NFTコレクションは、この曲のプロデューサーの一人であるJamil “Deputy” Pierreが所有するオリジナルレコードの権利の一定割合で構成されており、つまり、NFTの所有者は、プロデューサーであるDeputyに支払われるはずだったロイヤリティの一部を受け取ることができるのです。NFTコレクションは瞬く間に完売し、最初のロイヤリティは2月16日にNFT所有者に支払われる予定でした。
しかし、NFTの最大手マーケットプレイスであるOpenSeaは、NFTが分散された所有権とそれに基づく将来の利益を提供していると思われるとして、コレクション内のNFTの取引を停止しています。OpenSeaをはじめとする多くのNFTマーケットプレイスでは、こうしたNFTの取引はできませんが、こうしたNFTを販売できるマーケットプレイスも存在します。
ロイヤリティを受け取る権利を含むNFTを最も人気のあるNFTマーケットプレイスで二次販売することは困難ですが、このモデルには他にも知的財産権の問題があります。Deputyがリリースした「BBHMM」NFTの場合、原盤の製作者の一人であるDeputyとNFTコレクションとの間に明確な関係がありましたが、常にそういった関係が明確になるとは限らず、問題のNFTが本当にNFT保有者に主張するストリーミングロイヤルティ分配の権利を与えているかどうかを確認することが重要です。
また、NFTの根拠となる著作物に関連する商標やその他の知的財産権を侵害しないよう、NFTコレクションの販売方法を検討することも重要です。「BBHMM」NFTコレクションの場合、リアーナの名前と肖像がNFTに関連して主に使用されています。過去にリアーナは自身の名前と評判を不正使用から守るために商標権侵害やパッシングオフ訴訟を行っています。今回の場合、NFTコレクションはリアーナが行ったオリジナルの録音に関連するため、彼女の名前の使用はおそらく合法ですが、彼女の画像の使用は必ずしもNFTの基盤となる著作物の特定に必要ではないかもしれません。したがって、NFTコレクションに関連する他の知的財産権の侵害の可能性を回避するため、当該NFTのマーケティングに関しては、法的助言を求めることが望ましいといえます。
参考記事:The difficulties of exploiting IP through royalty-based NFTs